2008年09月05日

消費者契約法と不動産取引

福田総理が提唱し実現に向けて行動していた“消費者庁”ってどうなるんでしょうね。

さて、消費者を守るための法律として消費者契約法があります。不動産取引に関わらず、広範囲の契約行為に対し、経験と知識を持つ事業者と持たない消費者の力の格差による不当な被害を救済するために設けられました。

不動産取引では、宅地建物取引業法という消費者を守るために不動産業者の営業活動を規制する法律があります。業法の場合、規定されている内容に抵触するかどうかという具体的な行為で判断するのに比べ、消費者契約法では、結果を見て判断するという違いになると感じられます。

違う表現をすれば、業法は不動産取引に特化していることから具体的な内容を細かく規定できるのに対し、消費者契約法では広範囲な業種を対象とすることから抽象的な規定までとなっている。

さらに違う表現をすれば、業法では業界の仕組みから営業活動内容まで規定し契約前の部分を中心として制御しているのに対し、消費者契約法では契約そのものと契約後の取り扱いで制御している。

法律家ではないので一部不適切な表現もあるかもしれませんが、現場の感覚ではこのような感じを受けています。

消費者契約法の基本的な部分は、相手が事業者であるとき、事業者の行為により、消費者が誤認・困惑したとき、契約の申込・承諾の意思表示を、取り消せる、という“取り消し”行為と、消費者の不利益になる条項は“無効”になるという点です。※相手が事業者でないとダメです、契約そのものの取り消しもできると思われます。

第一条 この法律は、消費者と事業者との間の情報の質及び量並びに交渉力の格差にかんがみ、事業者の一定の行為により消費者が誤認し、又は困惑した場合について契約の申込み又はその承諾の意思表示を取り消すことができることとするとともに、事業者の損害賠償の責任を免除する条項その他の消費者の利益を不当に害することとなる条項の全部又は一部を無効とすることにより、消費者の利益の擁護を図り、もって国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。


ここで言う事業者の一定の行為とは以下の通りです。

・不実告知(事実と違うことを伝える)
 例:築10年の建物を築5年と伝える、など

・断定判断の提供(不確実なことを断定して伝える)
 例:将来必ず値上がりする、など

・不利益の不告知(不利なことを伝えない)
 例:隣地に嫌悪施設の計画がある、など

・困惑行為
 例:不退去、監禁、威嚇など

これらのことを重要事項に関して行うと消費者契約法の対象になります。ここでいう重要事項と宅建業法での重要事項説明とは異なります。消費者契約法でいう重要事項は、契約を締結するか否かの判断材料になるかどうかで決まります。

例えば、宅建業法での重要事項説明違反があったとしても、消費者契約法でいう重要事項にあたらないということもありえます。※重要事項説明違反として業者は処罰されますが。

なお、契約が取り消されるということは、最初からなかったこととして取り扱われるので、契約そのものが前提条件の仲介手数料請求権もなくなります。

この契約が取り消せるのには期間が定められており、一定行為を知ってから6ヵ月以内、かつ、契約をしてから5年以内でないと行使できません。また、善意の第三者に対しても行使の影響は与えられません。

このように、不動産取引においては宅建業法、さらに消費者契約法で、消費者の利益を守っています。しかし、行政側は、事業者側を厳しく見ていることに加え、一方的に守ってもらおうという消費者の甘えた考えを許容しているわけではなく、自己責任という部分も同法で明確に記載しております。

第三条 2 消費者は、消費者契約を締結するに際しては、事業者から提供された情報を活用し、消費者の権利義務その他の消費者契約の内容について理解するよう努めるものとする。


この条文では、消費者も騙されないように勉強しろ、考えろと言っています。いろいろな法律で被害にあった場合の規定はありますが、被害に遭わないことがなによりなのですから、自分で自分の身を守ろうという意識は必要です。

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2007年07月01日

生産緑地法

生産緑地法では、市街化区域内にある土地のうち、公害又は災害の防止、農林漁業と調和した都市環境の保全等良好な生活環境の確保に相当の効用があり、かつ、公共施設等の敷地の用に適した土地を“生産緑地”として都市計画に定めることができるとしています。

生産緑地は行政側からの一方的な指定ではなく、権利者全員の同意により申請するものです。生産緑地の最大のメリットは、本来、市街化区域内であることから宅地並みの固定資産税等が農地として安くなることです。しかし、デメリットとして、営農が原則であることから、解除したり、売ったり、貸したり、建てたりすることが厳しく制限されます。

生産緑地であるかどうかは、現地に行くと生産緑地である旨を表示した標識が設置されていますので、容易に確認できます。(標識設置は法的義務)また、都市計画図にも生産緑地の表示がされております。

生産緑地の所有者は、指定後30年経過した場合や主たる農業従事者の死亡または農業を継続できない事由が生じた場合、行政側へ買取りの申し出ができます。もし、行政側が買取らない場合は、生産緑地の行為制限が解除されます。これが生産緑地は30年間続くと言われる根拠となっています。但し、死亡などの事由により解除されるケースもあるので、30年間は絶対大丈夫とはならない。

相続を考えた場合、生産緑地に指定された農地を相続すると、相続税の納税猶予を受けられる可能性があります。ただし、農業相続人が終生営農を続けることが条件ですので、死亡するまで営農するなら有効ですが、途中で農業経営を止めると利子税も加算されてしまいます。※免除ではなく、猶予であるから猶予が打ち切られ、納税義務が発生する可能性は残る。

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2007年06月30日

農地法

農地法は耕作者の地位の安定と農業生産力の増進とを図ることを目的としています。農地法による農地等は以下のように定義されています。

農地等:農地及び採草放牧地
農地:耕作の目的に供される土地 → 現況にて判断(地目ではない)
採草放牧地:農地以外の土地で、主として耕作又は養畜の事業のための採草又は家畜の放牧の目的に供される土地

農地法では、所有権の移転などの権利移動や農地以外への転用をする際、農業委員会または都道府県知事の“許可”が必要であるとしています。ただし、市街化区域内での転用や権利移転の場合は、農業委員会へ“届出”をすればよいとしています。※許可ではなく届出であれば形式さえクリアすればよい。

まとめ
市街化区域内の農地:権利移転や転用は容易(生産緑地は除く)
市街化区域外の農地:権利移転や転用は難しい

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2007年06月29日

生前測量

不動産売買に限らず、相続でも、測量(≒土地の特定と正確性)は、とても大事なことです。しかし、相続が発生した後に測量をしようと思っても、いろいろなマイナス要因がある。

相続対策と言えば節税対策というイメージがあるが、納税資金の準備、揉めないようにするのも、相続対策として大事なこと。境界紛争(対隣接者、相続人間)にならないために、相続対策の基本として、資産の把握≒生前測量はとても重要になってくる。

[生前測量のメリット]

1.将来の境界紛争が防げる。 → 境界を知らない人(相続人)だと相手から足元を見られる。
2.時間的な余裕が出来る。 → 相続後だと申告期限に間に合わないことも → 特例適用不可
3.物納しやすくなる。 → 物納では境界確認、測量は必須。越境物廃除。
4.測量費用を経費として考えられる。 → 相続税の減少

境界が不明、正確な現状が把握できていない土地などの場合は、ぜひ生前測量をすることをお勧めします。(相続だけではなく売却を検討しているとしても)

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境界

境界には、公法上の境界(筆界)、私法上の境界(所有権界)、現状の境界がある。地球上に一人しかいなければ境界でもめることはないが、複数いればもめる。境界線は感情線(勘定線)とも言い、諸刃の剣でもある。

1.筆界

明治6年の地租改正により土地を人為的に区分けした際、一区画毎の土地に地番という番号をつけた。表題登記がある一筆の土地とこれに隣接する他の土地との間において、当該一筆の土地が登記された時にその境を構成するものとされた2以上の点及びこれらを結ぶ直線をいう。なお、境界線には広さという概念はない。

筆界は私人が自由に変更できるものではなく、筆界ができた時点で客観的に固定して動かない。(原始的筆界)これに対し、分筆や合筆をして出来た筆界は、新しくできた筆界であって、もともとの筆界が動いたわけではない。(後発的筆界)

2.所有権界

所有権の範囲を示す私法上の境界が所有権界。初期の地番の境は、所有権の境と一致していた。その後、分筆、合筆、時効取得などにより、所有権の境と地番の境となってしまった。

※土地の一部を時効により取得したとしても筆界が移動するわけではない。

3.現状の境界

土地を物理的に分けている境界。ブロック塀などで境界があっても、それが公法上の境界・私法上の境界と一致しているとは限らない。

[境界が揉めるケース]

・境界標がない(客観的な判断材料がない→勝手を言っても分からない)
・不正確な図面(明治4年の元々が間違っている、立会いなしの現況測量図など)
・公簿面積(登記簿上の面積は保証されない、信用できない)
・思い込み(自分の都合が良いように思い込んでいる、そう信じている、そう言われてきた)
・隣接者と仲が悪い(境界以外の揉め事が境界争いに発展する)

[境界が揉めていると]

・土地の売買や建物の建築に影響が出る
・不動産の証券化ができない
・地積更正登記、分筆登記ができない → 物納×
・面積が確定しない → 遺産分割ができない、相続争い

[境界で揉めないために]

・隣接者と信頼関係を培っておく
・思い込みと曖昧さを無くす → 事前に専門家へ依頼してきちんとしておく
・境界標をきちんと管理する

[境界で揉めてしまったら]

・筆界特定制度
・筆界確定訴訟
・裁判外境界紛争解決制度(ADR)
・所有権確定訴訟

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2007年06月28日

等価交換

等価交換とは、土地所有者の土地の上に、デベロッパー等が建築工事費等を負担して中高層耐火共同住宅を建設し、それぞれの負担割合に応じて竣工したマンションを取得する事業方式。

例:5億円相当の土地 → 一戸5,000万円のマンション20戸が竣工 → 10戸を地主が取得

等価交換の最大のメリットは、不動産譲渡税の課税を繰り延べ(※)と所有地の新しい建物に住めること。※繰り延べを受けるためには、等価交換の条件をクリアする必要がある。

課税を繰り延べるとは、等価交換時の土地等の譲渡利益に対しては課税なし。しかし、買換え資産(マンション)を譲渡する際、売った土地の取得原価を採用するため、譲渡税が増える。結果的には遡って課税することになる。

また、等価交換方式で取得したマンションを賃貸し、その不動産所得を申告する際の減価償却費は、基になる取得原価を採用するため、減少することになる。

[等価交換の条件]

1.個人が、既成市街地等およびこれに準ずる区域として政令で定める区域内にある土地等、建物または構築物を譲渡すること。ただし、譲渡資産の従前の用途は問わない。

ポイント:政令で定める区域内かどうかの確認

2.譲渡した土地等または建物・構築物の敷地の上に建設された耐火共同住宅とその敷地に買い換えること。

・耐火建築物または準耐火建築物であること
・地上階数が3階建て以上であること
・床面積の1/2以上が住宅の用に供されるものであること
・譲渡資産の取得者または譲渡者自らが建築すること
・譲渡資産を譲渡した年の1/1以降に買換え資産を取得すること
・譲渡資産を譲渡した年の12/31までに買換え資産を取得すること(特例で最長翌年3年内)
・買換え資産を取得してから1年以内に居住,事業に供すること(見込み、親族一部可)

[等価交換のメリット]

・自身で建て替えると資産規模は大きいが高額な借入金が生じることもあり
・売却すると現金化され、納税はしやすいが相続税が増加する
・複数の区分所有になれば、分けやすく、売りやすく、賃貸経営のリスクも分散する
・事業資金を土地代金でカバーでき、借入金を少なくできる
・ゆかりの土地で新しい建物に居住できる

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2007年06月22日

鑑定評価

相続税の申告のために土地を評価する場合、路線価方式が中心となり、当該敷地に接する道路の路線価から修正項目(面積、傾斜、形など)による調整をして求めます。すべての土地の約90%は路線価方式で対応できますが、一部例外がある場合、鑑定評価を行います。

路線価方式が使えないというケースは、路線価方式>時価となる場合です。

≪国税庁の事務連絡(平成4年3月)≫

・時価が路線価方式での評価を下回る場合、時価で申告しても構わない
・但し、時価として適切かどうか審査する

◇土地の評価

土地の評価は、物件の調査(特に行政法規)が重要ですが、その中でも“道路に始まり道路に終わる”と言われるくらい“道路”によって評価が変わります。(道路付け)

[道路に関してのチェック項目]

1.道路に接しているか
2.その道路は建築基準法上の道路か
3.道路の幅員は・・mか
4.その道路に2m以上接しているか

建築基準法では、同法で定める幅員4m以上の道路に、2m以上接していなければ建築はできないと定めてあり、建築できない(または制約がある)土地は、評価減となります。

[建築基準法で定める道路]

1.道路法による道路(いわゆる公道)
2.都市計画法による道路(開発道路)
3.既存道路(昭和25年当時、既に存在した道路)
4.計画道路(2年以内に施工される計画道路)
5.位置指定道路(特定行政庁から認められた道路)
6.2項道路(幅員1.8〜4m未満、特定行政庁が指定、セットバックが必要)

※ 但し書き道路(建築審査会の審査が必要、道路として認められる可能性あり)

道路としての注意点として、路線価がある=建築基準法上の道路とはならないこと。路地状敷地(敷地延長とも言う)の場合、道路幅員や路地部分の長さに関しての規定が、各自治体で取り扱いが違うこと。

道路以外にも、行政法規などで、どのような敷地利用が可能なのか、何か制約条件があるのかにより、土地の評価は変わります。

この他にも、傾斜地・崖、敷地面積が広大であることなどで、時価が路線価方式を下回ることがあります。

[広大地評価]

広大地とは、開発行為に該当するか、位置指定等の道路を築造しなければ有効活用できないような面積が広い土地です。目安は1,000u(首都圏は500u)。但し、道路などの公共公益用地が必要になることと、大規模工場やマンションの敷地に適さないことが条件となります。

ダメな場合:マンションや工場として利用できる、道路を作らなくても宅地開発ができる、など

マンション用地か戸建住宅用地かの判断は、不動産業者や鑑定士さんでも迷うところですが、容積率、用途地域などの法規制、近隣や道路・立地の状況、面積や地形などを総合的に判断します。

ここは非常に難しい判断になりますので、税理士さんではなく、不動産鑑定士による評価が必要になります。(税理士さんは税のプロであり、土地評価のプロではないので)広大地と認められれば、納税者にとって有利になりますが、広大地と認めさせるのは非常に難しいので、いかに力(経験や実績、知識や知恵)がある不動産鑑定士に依頼できるかが分かれ目になります。

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2007年05月25日

相続における生命保険の活用

◇ 生命保険の非課税枠利用

生命保険金については法定相続人1人当たり500万円の非課税枠が認められている。よって、同じ金額の金融資産でも、現金100%と現金50%保険50%では、非課税枠が利用できる分だけ節税になり、また、相続税納付の資金確保にも繋がる。

例:相続人が4人なら2,000万円の課税価額減になり、2,000万円×適用税率=節税額

◇ 保険料贈与プラン

契約者と受取人が子供で被保険者が親という契約形態の生命保険金は、子供の一時所得課税となる。毎年、保険料相当額の現金を、親から子供に贈与する。

三つのメリット
1. 相続税率>贈与税率なら、税率の差額分が節税
2. 贈与することにより相続財産の減少(結果的に相続税節税)
3. 相続税>一時所得の税金なら、その分だけ節税
        └→さらに一時所得のメリット
1:生命保険金から払い込み保険料を控除できる
         2:一時所得は50万円の控除ができる
         3:課税所得を2分の1にできる

 注意:保険料贈与プランは細かい注意点が多くあり、プロからのサポートが必要です。

◇ 生命保険金の代償交付金利用

相続財産のほとんどが不動産のケースで、複数の相続人がいるが共有にはしたくなく、さらに換価分割もしたくない場合、不動産を相続した人が他の相続人に対して、代償交付金を自分の財産(相続財産以外)から支払うことが必要になります。(他の相続人が放棄してくれれば別ですが)

その際、生命保険に加入していれば、生命保険金で解決することが可能です。手法は二つ。一つは、不動産を相続しない人を受取人とした生命保険に加入する。もう一つは、不動産を相続する人を受取人とした生命保険に加入する。この際、生命保険金は相続財産ではないため、代償交付金として利用が可能です。

相続財産:民法で定められている → 相続開始(死亡)時の財産
生命保険:相続開始後の財産 → 民法上の相続財産ではない、しかし、みなし相続財産として税法上は、相続財産として課税される。(民法と税法の区別)

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2007年04月21日

土地評価は税理士次第

1年間の死亡者数は約100万人。そのうち、相続税の申告をする必要がある人は4.5万人。税理士さんの登録数は約7万人なので、単純計算で、税理士さん一人当たり相続税申告を担当するのは年0.6件。年数件〜数十件を担当される税理士さんもいらっしゃいますので、相続税の申告を一切手掛けない方も相当数に上ります。

不動産屋でも、売買、賃貸、自宅用、事業用、種別ごとなど、その専門は多岐に渡り、携わっていないと専門外は分からないということがあります。税理士さんも同じですね。税理士試験は、必須と選択で5科目に合格すれば資格が取れますが、そのうち“相続税”は選択科目になり、勉強すらしたことがないという方もいます。同じ税金のことですから、一般の方よりは理解あるとは思われます。しかし、依頼するなら、やはり“相続に強い税理士”さんにすることをお勧めします。

(税理士さんも、相続は専門外ですからと言えばいいのですが、知識で売っている商売なので、分からない、知らないというのは心情的に言いづらいのでしょう。でも、依頼者のことを考えたら、専門外で迷惑を掛けることを避けるのが、プロだと思います)

相続税を申告するにあたり、相続財産を評価することが第一歩になります。日本の相続では、財産の大部分を土地が占めます。現金・預金などは誰が評価しても一緒ですが、土地の評価は担当する方によって、大きな違いが出ます。

土地を評価する基本方式は、路線価方式と倍率方式の二種類があります。

・ 路線価方式
国税庁から出される路線価(道路に面する土地の単価)に面積を乗じて計算。
路線価は“理想的な土地の単価”を出しているため、諸所の事情を考慮します。

・ 倍率方式
  路線価が算出されていない地域に適用。固定資産評価に国税庁の定めた倍率を乗じて計算。
  もともとの評価が個別要因を考慮していないこともある。

このように、土地の評価は路線価や固定資産評価を基にして算出されますが、ここをそのままで行くか、何かしらの減価要因を見つけて評価を下げるかは、担当者の力量によって違ってきます。

ただ、減価要因と言っても、税務署に対する説得力がなければ意味がありません。また、どうしても減価要因が見つからない場合もあります。

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2007年04月20日

宅地の評価

路線価による土地評価は、どの土地も画一的な評価になるため、それぞれの土地ごとに個別の要因を考慮しなければ、実際の評価と異なる結果になってしまいます。

まず、地積を決定し、その後、奥行、間口、接道、形状などによって加算・補正をします。地積は実際の面積(実測)が基本ですが、大きな差異がない前提で公簿(登記簿)の面積を採用します。しかし、売却や分筆する際は実測面積になります。

※ 不動産登記法の改正(H17)により、分筆する際には、全体測量・残地測量まですることが義務化され、また、実際の面積と公簿の面積に違いが生じた際は、地積更正登記が必要になります。この影響により、時間・費用が余計に必要となり、財産評価が上昇することもあります。(ので、できれば生前に対策を)

≪画地調整≫

1. 奥行価格補正
  奥行距離に応じた奥行価格補正率を乗じて算出。
  式)正面路線価×奥行価格補正率=土地評価単価

2. 側方路線影響加算
土地が角地もしくは準角地の場合に適用。
  式)1の評価+側方路線価×奥行価格補正率×側方路線影響加算率=土地評価単価

3. 二方路線影響加算
土地が正面と裏面で路線に接している場合に適用。
式)1の評価+裏面路線価×奥行価格補正率×二方路線影響加算率=土地評価単価

4. 間口狭小補正
  路線に接する距離が短い場合に適用。
  式)1の評価×間口狭小補正率=土地評価単価

5. 奥行長大補正
  間口のわりに奥行が長い場合に適用。
  式)1の評価×奥行長大補正率=土地評価単価

6. 不整形地補正
  正面路線から見て正方形、長方形になっていない場合に適用。
  式)かげ地割合(想定整形地面積−不整形地面積)/想定整形地面積・・2
    2に対する不整形地補正率×路線価=土地評価単価

7. 無道路地補正
  道路に直接接していない場合に適用。
  式)無道路地を接道義務が果たせる不整形地とみなして計算・・3
    無道路地であることの媒酌を計算
     A:路線価×接道義務を果たすために開設した通路の面積・・X
     B:3の評価×40%・・Y
    3−(XかYのどちらか低い金額)=土地評価

8. がけ地補正
  通常の用途に使えない部分がある場合に適用。
  式)1の評価×がけ地補正率(方位により)=土地評価単価

9. 広大地補正
  通常の用途に使うには、あまりにも面積が広い場合に適用。
  式)正面路線価×広大地補正率=土地評価単価

※ 正面路線→路線価が高い方、側方路線→路線価が低い方
※ 各補正・加算の率は、土地が属する地区ごとに変わる。
※ 想定整形地とは、正面路線に対して対象地全域を囲む整形地
※ 接道義務は各地方公共団体により異なる

この他にも、土地の状態・権利などにより、減額されることがあります。

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2007年04月07日

税理士の選び方

ドラマなどで弁護士に依頼するシーンがありますが、その中で“うちは民事が専門だから”ということで断るシーンを見ることがあります。また、不動産業界でも、賃貸または売買専門、さらに、買う側、借りる側、売る側、貸す側に強いなどの特色があったり、自宅または事業用が強いとか、狭い地域が強い、広域に強い、さらに、土地に強い、マンションに強いなど、各業者により特色・強みが異なります。

これは税理士の世界でも同じことが言え、法人税・所得税が強い、資産税・相続税が強いなど、税理士ごとに特色・強みが異なります。どの業界でも同じ業界で仕事をしているのですから、一通り事務・業務はこなせます。しかし、相続のための税理士を選ぶなら、相続に強い税理士を選ぶべきです。

◆ 選ぶポイント

・ 書類や資料の説明や請求がすぐにきたか
・ 相続税納税額の概算を早め(2ヶ月程度)に出してくれたか
・ 現場を実際に見て回り、質問や確認をしてくれたか
・ 不動産の知識があり、個別事情の配慮や、資料を参考にしてくれたか
・ 実務経験が多く、相続時のポイントやリスクなどを説明してくれたか

はっきり言って、これらの内容を全て、ひとつの専門職(税理士)がこなしきることはできません。すべてをこなすスキルではなく、このポイントについて、各専門職と連携して対応するネットワークやコーディネートができるかどうかになります。

◆ 相続に必要な専門職

・ 税理士(相続税)
・ 土地家屋調査士(土地の測量、分割、確定)
・ 司法書士(相続人の確定、不動産登記)
・ 不動産業者(不動産の評価、事情、売却)

※ 弁護士は、争いという法律の分野になります。争いがないうちに弁護士さんに頼ると、法律的な見方が強くなり、かえって争いの方向に進むことがあります。(人間味より法的・理屈になりがち)

これらの“相続に強い”専門職を個別に探し、手配していくのは、かなり大変な作業になります。この専門職の中から誰かを中心としてコーディネートしてもらうか、これら全てをコーディネートする相続専門家に依頼するのがベターかもしれません。

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2007年04月06日

相続対策の基本

1. 財産分けでもめないための対策

法定相続は“平等”ではあるが“公平”ではない。この隙間を埋めるのが遺言であり、その中の“付言事項”が、遺留分・減殺請求に効果が出ます。

相続争いというと“(プラスの)財産”を引き継ぎ、奪い合うイメージがあるが、実際には、不良資産や借金などのマイナス分を押し付けあうという相続争いもある。全てを清算してみたらマイナスということであれば、放棄するということで全員一致するが、トータルはプラスだけど、誰も引き取りたがらない資産があると、遺産分割協議は難航することになる。

借金は、遺産分割に馴染まず、債権者側の承諾がなければ、法定相続分で相続することになるので、借金の相続を考慮した分割ができるようにしておく。

2. 円滑な納税のための対策

相続税は現金一括払いが原則であり、円滑な納税のために、納税の資金準備をする必要がある。

・ 納税を見据えた遺産分割(ができるように、納税資金用の資産を準備)
・ 生命保険の活用
・ 不良資産の生前売却(売却の諸費用で節税対策にも)
・ 資産組替え

3. 相続税を少なくする対策

資産規模を維持しながら、収める相続税を少なくする。

・ 現金を評価の低い資産へと組み替える(資産組替え)
・ 贈与などで資産を移す(納税対策にも)
・ 生命保険の活用(納税対策にも)
・ 養子縁組などで基礎控除引き上げ、税率引き下げ

この相続対策は上記の順番が大切であり、それぞれの対策が相互に反発することもあるので、総合的な見地からみること、本質を見極めることが大事になります。

すべてを完璧にという対策はまず無理であり、どこを捨てて、どこを得るか、欲張らずに行うことが相続を成功へと導きます。

基本は、どう分けて、どう納めるのか、それが結果的に節税対策にも繋がります。

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2007年04月04日

生命保険(相続)

契約者:保険料を支払う人
被保険者:保険の対象になる人
受取人:保険金を受け取る人

生命保険は契約形態により、課税される税金の内容が変わります。被相続人(亡くなった人)を被保険者とした契約の場合、次の三種類に分かれます。

1) 契約者:被相続人 受取人:相続人 → 相続税
2) 契約者:相続人  受取人:相続人 → 所得税
3) 契約者:相続人  受取人:契約者以外の相続人 → 贈与税

3の贈与税になる契約形態は、特別な事情?がない限り、使われるケースは少ないと思います。

◆ 生命保険の非課税枠(死亡退職金も同じように扱われます)

500万円 × 法定相続人の数 = 非課税

この非課税枠を超えた生命保険金(死亡退職金)は“みなし相続財産”とされ、相続財産に参入されます。(相続税課税対象)また、受取人が相続人以外の場合は、非課税の適用がありません。

◆ 生命保険の活用

生命保険の受け取り金は、遺産分割ではなく、保険金の受取人と指定された人が受け取れます。また、民法上の相続財産ではない(ので、みなし相続財産)ため、(民法上の相続財産を)相続放棄した人も受け取ることができます。

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2007年04月03日

相続財産の評価

相続財産は、原則として相続開始時の時価で評価します。上場株式や預貯金などは簡単に分かり、不動産のうち建物は、市町村で個々に評価してある“固定資産税評価額”のため、評価はすぐに分かりますが、土地と非上場株式(いわゆる中小企業のオーナー)は評価が複雑で難しくなっております。

◆ 土地の評価

まず、土地の評価は筆(土地の区分)単位ではなく、利用単位(複数の土地を同じ用途で使う)で評価します。評価方式は路線価方式(主に市街地)と倍率方式(主に郊外)とがあります。

路線価とは、市街地の道路ごとに付けられている“路線に面する敷地の標準的な評価額(1?u)”で、税務署に備え付けられている路線価図にて確認できます。現在はインターネットを通じても確認することができます。

◆ 路線価の加減算

路線価に土地の面積を掛けた価格が評価額となりますが、実際の評価(時価、取引価格)は、土地の形や大きさ、道路方位など様々な要素により異なります。相続税の評価は時価を原則とすることから、路線価により算出された評価額から、時価に近づけるための加算や減算をします。

加算・減算項目:奥行き、形、間口、崖、角、複数路線に接道など

◆ 利用形態による修正

土地の利用形態によっても、評価は異なるため、上記の計算により算出された評価額(※)から利用形態により評価を修正します。

※ 通常の評価は自用地。自用地とは自宅や駐車場、更地など

・ 貸宅地(いわゆる借地) → 自用地 −(1−借地権割合)
・ 貸家建付地(アパート用地) → 自用地 −(1−借地権割合×借家権割合)
・ 借地(借りている人) → 自用地 × 借地権割合
・ 私道 → 不特定多数の通行ならゼロ、特定人の通行のみなら30%
・ その他 → セットバック、高圧線下、都市計画予定地などは個々に修正

※ 貸家建付地は、土地と建物の所有者が違う時は適用されません。

◆ その他

アパートなど賃貸している建物は、固定資産税評価額の70%(大阪の一部は除く)
非上場株式は、純資産価格方式、類似業種比準価格方式、または、その併用

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2007年04月02日

資産組替(相続)

相続税対策の基本のひとつが、相続財産の評価を下げることです。しかし、多くの方が錯覚しているのが、“借金をすればプラスの財産と相殺されて評価が落ちる”という認識です。

借金と財産評価の例

現在の資産:資産(プラス)2億円と負債(マイナス)1億円 → 課税価格1億円

この資産構成で、銀行から1億円の借金(マイナス資産)をすると、プラスマイナス“0”になって、課税価格ゼロだから相続税もゼロ?

借金したということは、現金1億円がプラスになったということですから、資産構成は、プラスが3億円、マイナスが2億円で、課税価格は1億円のままです。

借金して、そのお金を自分(被相続人)のために使ってしまうなら、プラスの資産が増えないので、課税価格は減少し、相続税も減ります。しかし、相続する資産そのものも減少することになります。生きている間を有意義にということであれば、これでも良いのですが。

また、逆パターンとして、上記の資産構成で資産から借金を返してしまっても、プラスが1億円、マイナスがゼロで、課税価格は1億円です。このケースでも相続税は変わりません。

上記の資産構成で、借金で得た現金1億円で1億円のアパートにしたら、現金から固定資産税評価額に変わるだけで、相続財産の評価減になり、さらに賃貸物件であることから借家権分が差し引かれ、さらにその敷地も貸家建付地として評価減になります。

資産価値をそのままに、相続税を減らすのは、借金そのものに意味があるのではなく、借金で得た現金を相続税評価の低い資産に組み替える“資産組替”によって生じるのです。

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2007年04月01日

相続税取得費加算

不動産を売却して利益が出た場合、譲渡所得として課税されます。不動産売却の利益は、売った金額から取得費や売却諸費用を除いた金額になりますが、この取得費に相続財産を譲渡した場合の特例として、相続人が相続で取得した不動産に占める相続税の金額を取得費に加えることができます。

売却金額 −(取得費 + 相続税 + 売却諸費用)= 譲渡所得

◆ 相続税取得費加算の要件

・ 譲渡する資産は相続で取得した物に限る
・ 相続税申告期限から3年以内の譲渡に限る(相続開始から3年10ヶ月以内)
・ 土地は相続で取得したすべての土地に対する相続税になるが、建物は譲渡した物だけ

この特例は、相続税に払うためなどという売却の目的の制限はなし。しかし、周りには“相続税を払うのにお金がなくて”などと言えたり、勝手に思われるため、不動産(特に土地)を売るには絶好のチャンスになりやすい。

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2007年03月31日

物納

相続税を始め、税金は現金で納めるのが原則ですが、期限内の納付が難しく、かつ、近い将来の納付(延納)も難しい場合に限り、現金に換えて物で税金を納めることができます。ただし、物納が認められるまでのハードルは、かなり高くなっています。

◆ 物納の条件

・ 相続により取得した財産であること。(物納にも優先順位がある)
・ 申告期限までに申請すること。(分割協議が成立し、所有者の確定)

一括納付や延納が困難と認められる事由(経済事情)を厳しくみる傾向にあり、また、地価も上昇傾向になると、物納よりも市場で売却し換金して納付する方向になると思われます。

物納するにしても、売却して換金するにしても、生前に土地の測量などの準備をしておき物納の適格要件みたしておくことが、納税のための準備・預金になります。

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2007年03月30日

相続税基礎控除

基礎控除額 = 5,000万円 +(1,000万円 × 法定相続人の数)

計算例:法定相続人が妻と子供二人の場合
5,000万円 +(1,000万円 × 3人)= 8,000万円

この基礎控除額以内なら申告義務はない。ただし、相続時精算課税を利用した場合は、基礎控除内でも申告が必要になります。

基礎控除を超えてしまったら、小規模宅地の特例を使う。また、名義預金(被相続人の財産だが、家族名義にしてある)には注意が必要。

基礎控除の計算に参入される法定相続人の数は、実子がいる場合は養子一人まで参入、実子がいない場合は二人まで参入。ただし、特別養子や配偶者の連れ子を養子にした場合は養子制限の対象から外れます。相続を放棄した人でも、基礎控除の計算では人数に参入します。

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2007年03月29日

小規模宅地の特例

被相続人が居住や事業のために使用していた土地は、相続人の生活基盤になる財産であり、処分しづらいことから、一定の面積までは評価を軽減する特例が小規模宅地の特例です。

この特例を受けるには、相続税申告期限までに遺産分割が確定していなければなりません。割合で評価減になるため、評価が高い土地ほど、減額は大きくなる。

◆ 居住用:240?uまで

被相続人の住居に同居し、その敷地を相続し申告期限まで居住していれば、240?uまでに対し、80%引き(20%評価)に減額されます。

※ 配偶者は無条件で適用だが、家を所有している人が相続すると50%減になる。

◆ 事業用:400?uまで

親族が、被相続人の事業を引き継ぎ、申告期限まで引き続きその宅地等を所有し、事業を営んでいれば400?uまでは80%引き(20%評価)に減額されます。

※ 賃貸不動産経営や駐車場経営なども事業ではあるが、こちらは200?uまでで、かつ、50%引き(50%評価)に減額されるまでに留まる。

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2007年03月28日

相続税額の計算

◆ 相続税の速算表

法定相続分に応じる取得金額  税率  控除額
1千万円以下 10% なし
1千万円超 3千万円以下 15% 50万円
3千万円超 5千万円以下 20% 200万円
5千万円超 1億円以下 30% 700万円
1億円超 3億円以下 40% 1700万円
3億円超 50% 4700万円

計算例:5500万円×30% = 1650万円 − 700万円 → 相続税額950万円

◆ 2割加算

被相続人の配偶者や一親等の血族(父母や子供)以外の者が財産を取得した場合、算出された税額に2割加算されます。例:孫や兄弟姉妹。ただし、子に代わって相続人となった孫(代襲相続人)は2割加算されません。

◆ 相続税の税額控除、軽減

・ 贈与税額控除 → 3年以内の贈与に対する贈与税額を控除)
・ 配偶者の税額軽減(別記)
・ 未成年者控除 → 6万円×(20歳−相続開始時の年齢)
・ 障害者控除 → 70歳未満が対象
・ 相次相続控除 → 被相続人が10年内に相続により取得し、相続税が課税されている場合
・ 外国税額控除 → 外国で相続税が課されている場合

◆ 配偶者の税額軽減

配偶者の生活を保障するため、税額を軽減する処置。配偶者が取得した財産が法定相続分以下なら、取得額がいくら多くても、相続税なし。法定相続分を超えていても、その額が1億6千万円以下なら、相続税なし。

この特例を受けるためには、婚姻届が出ている法律上の配偶者であることと、相続税の申告期限までに、遺産分割が確定していることが条件。

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